要介護者に口腔ケアが必要な理由

口腔ケアは、口内の衛生状態を良好に保つためのケアを指します。
口腔ケアの代名詞ともいえる歯磨きは広く知れ渡っている方法であり、口内を清潔に保つことは全身の体調管理における重要なポイントです。
口内が不潔になると虫歯や歯周病のリスクが増大する他、肺炎の原因になる誤嚥が生じやすくなります。
最初は口内の不調だけでも、適切な処置をしないと全身の不調につながっていくのです。
特に要介護者の場合、自ら口腔ケアを行うのが困難な人も多いため、介助作業の一環として口腔ケアを行わなければいけません。
要介護者に対する口腔ケアは口内に汚れを残さないことが重要なので、介護用のスポンジブラシやガーゼを使って狭いすき間に入り込んだ汚れも綺麗に取り除くことを心がけます。
また、舌や頬の内側の汚れも残してはいけません。

高齢者は加齢によって唾液の量が減り、口内が乾燥しやすくなっています。
細菌の繁殖を抑える作用を持つ唾液が減ると口内が不潔な状態になり、虫歯などの疾患リスクが増大する事実は否定できません。
口腔ケア用の保湿剤を塗布するのが正しい対処法ですが、口を開けることができない人に対して無理強いするのは禁物です。
見える部分の汚れを取り除いた後はあごの筋肉にマッサージを施し、自然に口が開くように促します。
その後、口内の汚れをできるだけ取り除きますが、剥がれ落ちた汚れや唾液で誤嚥を引き起こさないように注意しなければいけません。
誤嚥を防ぐには要介護者を座った姿勢に保ち、汚れや唾液を専用の機器で吸引させながら口腔ケアを行うのが正しい方法です。